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過敏性肺炎をめぐる最近1年間の全般的話題
急性過敏性肺炎とは,有機物もしくは無機物を大量あるいは少量を長期間吸入することで個体が感作され,それにより生ずる感作リンパ球あるいは特異抗体が吸入抗原と肺局所で免疫反応を引き起こし,主として細気管支周囲や肺の間質に肉芽腫性病変を来す疾患である1).一方,慢性過敏性肺炎は感作リンパ球と抗原との反応が主であり,肉芽腫性病変は少なく小葉中心性の炎症と線維化から始まり,進展すると肺胞構造の改築,蜂巣肺を来す.過敏性肺炎は急性,亜急性,慢性として病型分類する報告もあるが,急性といっても週単位での微熱,咳嗽があり,また亜急性を定義した原著論文が存在しないことより,急性-亜急性を同一カテゴリーとして急性,慢性は急性症状を繰り返しながら慢性化する再燃症状軽減型と急性症状を認めない潜在性発症型に分類するのが妥当と考える2~6).潜在性発症型では急性症状を認めないため特発性肺線維症(IPF/UIP)と誤診されることも多い4,5).慢性過敏性肺炎は本邦の全国調査の報告において,1)環境曝露または抗原吸入誘発試験による臨床像の再現,2)鳥関連抗原に対する特異抗体あるいはリンパ球増殖試験が陽性,または両者が陽性,3)組織学的に線維化を認めること,4)CTでの蜂巣肺の存在,5)1年以上にわたる拘束性換気障害の進行,6)6カ月以上にわたる過敏性肺炎による呼吸器症状の存在,の6項目のうち,1)または2)と3)または4)と5)または6)を含む3項目以上陽性のものと初めて定義された2).
急性および慢性過敏性肺炎の新たな原因抗原は毎年報告されている7~10).慢性過敏性肺炎の報告例のうち鳥関連抗原によるものが多いのは,現在の鳥飼育での発症例だけでなく,隣人の鳩飼育,羽毛布団,公園,神社,駅の野鳥,野鳩の集団棲息,鶏糞肥料の使用など無自覚の抗原曝露や間接曝露で発症する例が認められるからであり,したがって,鳥飼病というより鳥関連過敏性肺炎とするのが妥当と考えられる6).また,慢性夏型過敏性肺炎以外にも職場や自宅などの環境が重要であると報告されている11).
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