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■最近の動向 過敏性肺炎は,有機ないし無機粉塵の吸入によって起こるアレルギー性肺疾患の総称で,原因となる抗原の種類により,夏型過敏性肺炎・農夫肺・加湿器肺(空調病・換気装置肺炎)・鳥飼病・イソシアネートによる過敏性肺炎などに分類される.このうち夏型過敏性肺炎は我が国の過敏性肺炎の75%を占める重要な疾患で,高温多湿な環境において家庭内の浴室などの腐木などに増殖したTrichosporon cutaneumにより発症する.その名のとおり患者の発生は7月をピークとし,しばしば家族内に複数の患者の発生を認める.在宅時間の長さを反映して患者は女性に多いが,T.cutaneumに感作されても全員が発症するわけではなく,その発症に関与する宿主側の素因が現在注目されている.夏型過敏性肺炎はこれまで日本に特有の疾患と考えられてきたが,近年では韓国などでも同様の症例の報告がなされており,今後はその他の地域でも症例が報告されてくるものと思われる.夏型過敏性肺炎の原因抗原のTrichosporon属は旧分類では15菌種に分類されていたが,1992年Guehoらは分化進化学的分類法によりこれを20菌種に分類した.そこでここではまず,この新分類に基づき夏型過敏性肺炎の原囚となるTrichosporon属の再分類を行った論文につき述べる.
過敏性肺炎の病態形成には,III型(免疫複合体)およびIV型(細胞性免疫)アレルギーが関与するとされており,呼吸細気管支を中心に肉芽腫性胞隔炎が認められる.近年,肉芽腫の形成に関与する炎症性サイトカインネットワークが明らかになりつつあるが,ここでは肉芽腫形成におけるIFN-γの役割について,農夫肺マウスモデルを用いて検討した報告を紹介する.
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