Japanese
English
Current Opinion
肺癌の早期診断―画像診断によるアプローチ
Current Opinion of Early Lung Cancer Detection:Imaging approach
栗山 啓子
1
Keiko Kuriyama
1
1公立学校共済組合近畿中央病院放射線科
1Department of Radiology, Kinki Central Hospital of Mutual Aid Association of Public School Teachers
pp.189-193
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100163
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肺癌の動向とガイドライン
わが国における肺癌の年齢調整死亡率を1955年と2003年とで比較すると,男性は5.7倍,女性は4.0倍である.1955年以降の推移をみると,男女とも大きく上昇し,近年はやや横ばいとなっている.肺癌が悪性新生物に占める割合は,男性は22.3%(1993年以来第1位),女性は12.3%(大腸癌,胃癌に次いで第3位)である.他の先進国では肺癌死亡率はわが国より高く,特にアメリカ合衆国においては深刻な課題となっている.さらに,悪性新生物の年齢調整死亡率を諸外国と比較すると,日本は男女ともに胃が多く,肺が少ないが,年々この傾向を打ち消す方向に推移し,欧米化している1).現在でも肺癌は5年生存率が14%程度にとどまり,難治癌の一つとされている.肺癌の死亡率が高い理由として,肺癌の診断時には半数以上の患者が病期分類III期以上の進行癌であり,その時点では有効な治療法がないことが考えられる.すなわち,肺癌をいかに早期に発見し,診断するかが重要な課題となっている.
近年,様々な疾患の診療方針に関してevidence-based medicine(EBM)の手法によるガイドラインが提示され,肺癌の診療に関しても2003年にEBMの手法による肺癌診療ガイドラインが出版された2).本稿では肺癌のガイドラインの中の診断の章で,早期診断に関連した集団検診,検出方法と質的画像診断の項を更新する最新の文献を紹介する.
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