今月の主題 肺癌—最近の知識
肺癌の病型と特徴
早期肺癌
河野 通雄
1
,
高田 佳木
1
Michio KONO
1
,
Yoshiki TAKADA
1
1神戸大学医学部・放射線科
pp.416-419
発行日 1981年3月10日
Published Date 1981/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217070
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早期肺癌の定義
早期肺癌とはどのような肺癌であるか,については以前から諸家により検討されてきた.現在では池田1)の提案した早期肺癌を肺門部と末梢部にわけた考え方が定着しつつある.すなわち,区域気管支より中枢側を肺門部,亜区域気管支より末梢側を末梢部とし,発生部位別に早期癌の定義を作成した.
肺門部早期肺癌の定義は,切除した標本において,①区域気管支より中枢側に発生した肺癌である,②気管支壁内に限局している,③リンパ節転移,遠隔転移がない,としている.この考え方による早期肺癌は当然StageⅠに含まれるものであるが,TNM分類では気管分岐部より2cm以内に癌が及んでいた場合にはT3になりStageⅢに分類されることと矛盾している2).しかし,もし完全に切除できたなら気管分岐部から2cm以内に癌が及んでいてもよいのではないかと考えられている.
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