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Current Opinion
川崎病既往のある患者の成人期の管理
Management in Adult Patients with the History of Kawasaki Disease
津田 悦子
1
,
越後 茂之
1
Etsuko Tsuda
1
,
Shigeyuki Echigo
1
1国立循環器病センター小児科
1Department of Pediatrics, National Cardiovascular Center
pp.195-198
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100164
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川崎病既往患者の成人期管理をめぐる最近の話題
川崎病は,1967年に川崎富作博士により報告された主として5歳未満の小児が罹患する原因不明の急性熱性疾患で,中小血管炎である.急性期に約10%に冠動脈瘤がみられるが,遠隔期に虚血性心疾患を呈する患者は1~2%と推定される.川崎病既往といっても冠動脈障害の有無により,その管理は大きく異なる1).急性期に冠動脈瘤がみられなかった川崎病既往のみの患者は,動脈硬化危険因子を除くよう注意は必要であるが,特別な管理は必要ない.
断層心エコー図での冠動脈瘤の診断は,心エコー装置の進歩,普及に伴い1980年代後半から1990年代になり可能となった.それ以前に発症した川崎病既往患者の冠動脈障害の診断は,ごく限られた施設の選択的冠動脈造影によるしかなく,急性期に正確な冠動脈障害の診断がなされていない場合がある.1970年代では小児科医の川崎病に関する知識は必ずしも十分とは言えず,川崎病の診断がself-limitingな主要6症状から確定するため,川崎病と正しい診断がなされていない場合もある.また,1967年以前に川崎病に罹患した患者群も存在している.この患者群が,現在成人期に至っている.
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