Japanese
English
特集 レニン・アンジオテンシン系薬剤の最近のトピックス
インバースアゴニストとしてのARB
ARB as an Inverse Agonist
赤澤 宏
1
,
小室 一成
1
Hiroshi Akazawa
1
,
Issei Komuro
1
1千葉大学大学院医学研究院心血管病態解析学・循環病態医科学
1Division of Cardiovascular Pathophysiology and Department of Cardiovascular Science and Medicine, Chiba University Graduate School of Medicine
pp.125-130
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100153
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
アンジオテンシンII(angiotensin II:AngII)は血圧や水・電解質の恒常性の維持に中心的な役割を果たしているが,組織レベルでは心血管系細胞の増殖や肥大,線維化を促進するなど,心血管リモデリングの病態に深く関与している.AngIIの心血管系組織における作用の大部分は,7回膜貫通型のG蛋白質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)ファミリーに属するAngIIタイプ1(AT1)受容体を介する.AT1受容体ブロッカー(ARB)は強い降圧作用と高い忍容性から降圧薬としての優位性が評価されているが,組織レニン・アンジオテンシン系(RAS)を抑制することで心血管保護作用や腎保護作用,インスリン抵抗性の改善作用などの臓器保護作用を有することが動物実験や大規模臨床試験により証明されつつある.
GPCRの機能阻害薬には,アゴニストに対して競合的に拮抗するアンタゴニストとアゴニストに依存しない受容体の活性化をも抑制するインバースアゴニストが存在する.最近,アンジオテンシンII(AngII)の存在しない状態でもメカニカルストレスによってAngIIタイプ1(AT1)受容体が活性化すること,さらに,ある種のARBはインバースアゴニストとして作用して受容体の基礎活性やメカニカルストレスによる活性化を抑制することが明らかとなった.本稿では,インバースアゴニストとしてのARBについて概説したい.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.