Japanese
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特集 ARDS/ALIの薬物療法
NO吸入療法
Inhaled Nitric Oxide Therap
水野 史朗
1
,
石崎 武志
2
Shiro Mizuno
1
,
Takeshi Ishizaki
2
1福井大学医学部第三内科
2福井大学医学部基礎看護科
1Third Department of Internal Medicine, University of Fukui
2Fundamental Nursing,University of Fukui
pp.805-810
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100343
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はじめに
1987年に一酸化窒素(nitric oxide:NO)がendothelium derived relaxing factorであることが発見され,1991年にFrostellらによってNO吸入が選択的に肺血管の拡張をもたらすことが報告された1).その後,1993年にRossaintらによりNO吸入療法が成人呼吸促迫症候群(adult respiratory distress syndrome:ARDS)の酸素化の改善に有効であると報告2)されて以来,ARDSの重症呼吸不全の治療法の一つとしてNO吸入療法の有用性が認められるようになってきている.NOの持つ生理学的特性は,単なる血管拡張作用にとどまらず,免疫,抗炎症,抗血栓,細胞増殖抑制作用など多岐にわたっていることが細胞,動物実験などの基礎研究により判明している.現在,わが国ではいまだに保険適用外であり,環境汚染などの問題から施行可能な施設も限られているものの,アメリカ,ヨーロッパでは大規模な臨床研究が数多くなされており,NO吸入療法の役割,またその限界が明らかになってきている.
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