Japanese
English
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍
主題アトラス
胃:Epstein-Barrウイルス関連胃癌
Epstein-Barr Virus-associated Gastric Carcinoma
海崎 泰治
1
Yasuharu Kaizaki
1
1福井県立病院病理診断科
キーワード:
Epstein-Barrウイルス関連胃癌
,
リンパ球浸潤癌
Keyword:
Epstein-Barrウイルス関連胃癌
,
リンパ球浸潤癌
pp.413-416
発行日 2020年4月25日
Published Date 2020/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202001
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
概念・定義1)2)
EBV(Epstein-Barr virus)はヘルペスウイルスの一種で,日本人の多くに潜伏感染している.鼻咽頭癌や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の原因ウイルスとして知られるが,胃癌の約5〜10%でも癌細胞にEBVの潜伏感染が確認され,EBV関連胃癌と呼ばれている.
EBV関連胃癌の7〜8割はリンパ球浸潤癌の形態をとり,リンパ球浸潤癌におけるEBV感染を検索したことにより研究が開始されている.臨床病理学的には,著明に男性優位(4:1程度)であり,罹患年齢は60歳代前半で,通常型胃癌よりもやや若い傾向にある.発生部位は胃の近位部に多い.多発例が多く,同時多発症例のみならずEBV関連胃癌切除後の残胃発生症例も多い.残胃の癌では特にBillroth II法再建胃の吻合部に発生する頻度が高く,背景にstomal polypoid hyperplastic gastritis(gastritis cystica polyposa)を有することが多い.リンパ節転移の頻度が低く,通常型胃癌と比較して予後がよい.このような通常型胃癌とは異なる特徴を有し,独立した組織型であると考えられている.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.