Japanese
English
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて
症例アトラス
感染性胃炎
胃アニサキス症
Gastric Anisakiasis
松野 健司
1,2
,
上堂 文也
1
,
河野 光泰
1
,
嶋本 有策
1
,
福田 弘武
1
,
中川 健太郎
1
,
大森 正泰
1
,
岩上 裕吉
1
,
井上 俊太郎
1
,
岩坪 太郎
1
,
中平 博子
1
,
松浦 倫子
1
,
七條 智聖
1
,
前川 聡
1
,
金坂 卓
1
,
山本 幸子
1
,
竹内 洋司
1
,
東野 晃治
1
,
石原 立
1
Kenshi Matsuno
1,2
1大阪国際がんセンター消化管内科
2熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学
キーワード:
胃アニサキス症
,
食中毒
,
vanishing tumor
,
アレルギー
,
寄生虫
Keyword:
胃アニサキス症
,
食中毒
,
vanishing tumor
,
アレルギー
,
寄生虫
pp.1636-1639
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201884
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疾患の概念と最近の動向
消化管アニサキス症はAnisakis亜科(Anisakidae)の線虫(アニサキス)が人体に侵入して引き起こされる病態で,なかでも胃アニサキス症が最も多い.生魚摂取を食習慣とする本邦では胃アニサキス症の発生頻度は決して低くはなく,日常診療においてまれならず遭遇する疾患である.また昨今,各種媒体でアニサキスによる食中毒事件が増加していることが報道され,世間の耳目を集めたことも記憶に新しい.
アニサキス症の原因である線虫の多くは,Anisakis亜科のAnisakis属に分類される寄生虫である.線虫の成虫はクジラ,イルカなどの海産哺乳類の消化管に寄生しており,成虫が産んだ卵が海水中で発育して幼虫となる.その幼虫をアミ類が摂取し,幼虫に感染したアミ類を魚類やイカ類が摂取し,さらに感染した魚類・イカ類をヒトが経口摂取することで人体に侵入しアニサキス症を発症する1)2).アニサキスはヒトが最終宿主ではないため人体内で自然死滅するが,アニサキスに対するアレルギー反応が生じると考えられている.なお,アニサキス症の原因として最も頻度の高い虫体であるAnisakis simplexは−20℃以下で24時間もしくは60℃以上の環境下であれば短時間で死滅する.
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