Japanese
English
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて
症例アトラス
感染性胃炎
胃カンジダ症
Gastric Candidiasis
池上 幸治
1,2
,
蔵原 晃一
1
,
大城 由美
2
,
村田 征喜
1
,
和智 博信
1
,
末永 文彦
1
,
清森 亮祐
1
,
平田 敬
1
,
浦岡 尚平
1
Koji Ikegami
1,2
1松山赤十字病院消化器内科
2松山赤十字病院病理診断科
キーワード:
胃カンジダ症
,
感染性胃炎
,
胃潰瘍
,
内視鏡所見
,
非Helicobacter pylori胃炎
Keyword:
胃カンジダ症
,
感染性胃炎
,
胃潰瘍
,
内視鏡所見
,
非Helicobacter pylori胃炎
pp.1632-1635
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201883
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
疾患の概念と最近の動向
カンジダは口腔から消化管に常在菌として存在しており,通常は病原性を示さない.しかし,悪性腫瘍や血液疾患,HIV(human immunodeficiency virus)感染や糖尿病などの基礎疾患を有する患者,ステロイド薬,免疫抑制薬,抗癌薬などの薬剤使用者は,日和見感染として上部消化管カンジダ症を発症することがある1)2).胃カンジダ症は食道カンジダ症と比較してまれだが,免疫不全のない患者においても,酸分泌抑制薬内服,萎縮性胃炎,幽門側切除術後などによる低酸状態や胃内環境の変化により発症しうる.
胃カンジダ症はカンジダ感染が先行して潰瘍形成する原発性と,潰瘍にカンジダが感染する続発性に分けられるが,判別困難なことも多く,過去の報告では抗真菌薬の効果により分類されているものが多い.病理組織学的に深部へのカンジダ侵入が認められれば診断可能だが3),潰瘍表面に付着しているのみの場合は,適切な検体が採取されていない可能性もあり,付着か感染かを臨床的に判断する必要がある.しばしば難治性潰瘍の経過を呈し,重症例では穿孔4)や狭窄5)6)を合併し手術を要した報告もみられる.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.