特集 図説 胃と腸用語集2012
解剖
大腸の解剖用語
野村 昌史
1
,
篠原 敏也
2
1手稲渓仁会病院消化器病センター
2手稲渓仁会病院病理診断科
pp.627-629
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113242
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大腸の解剖
大腸は長さが約120~170cmの管腔臓器で,腹腔内を一周するように走行する.Fig. 1のように,口側から盲腸,結腸,直腸S状部,直腸に区分され,結腸はさらに上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸に,直腸は上部直腸と下部直腸に分けられる.上行結腸と横行結腸の移行部は右結腸曲(肝彎曲),横行結腸と下行結腸の移行部は左結腸曲(脾彎曲)と呼ばれる.回腸末端部,回盲弁(Bauhin弁),盲腸および上行結腸の一部から形成される小腸と大腸の境界部は,一般的に回盲部と呼称される.横行結腸とS状結腸は腸間膜を有し可動性に富むが,盲腸,上行結腸,下行結腸,直腸は後腹膜に固定されている.
大腸壁の構造は,他の消化管と同様に粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜あるいは外膜の4層から成っている(Fig. 2).粘膜は0.2~0.4mmの厚さであり,大腸壁全層では3~5mmで,胃壁の約1/2の厚さである.粘膜は一層の円柱上皮に覆われ,吸収上皮細胞とその中に粘液を産生する多数の杯細胞が存在し,Lieberkühn陰窩を形成する.陰窩の粘膜開口部は,内視鏡では色素(インジゴカルミン,クリスタルバイオレット)撒布により類円形の小さな穴(pit)として観察される.このpitの形態は大腸病変を診断する際に有用で,鑑別診断のみならず大腸癌の深達度診断に役立てられている.
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