技術解説
胃生検(Ⅱ)―各種疾患に対して
高木 国夫
1
1癌研究会附属病院外科
pp.261-268
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110474
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回は胃生検技術の大様について説明しましたが,今回は,胃内各種疾患に対する胃生検について述べてみたいと思います.
Ⅰ.診断的意義(成功例から)
ガストロファイバースコープ(FGSと略)による直視下胃生検のもっとも期待される意義は,胃内の限局性病変の診断にあって,特に早期癌の診断,ポリープや潰瘍の良性悪性の鑑別にあります.胃癌特に早期癌を中心に,胃潰瘍およびポリープの生検成績および技術について検討する.なお胃生検によって診断が簡単につくと考えがちですが,病巣部より確実に生検しえても必ずしも診断が容易でない場合もあります.とくに生検組織の腺管が正常腺管より密にあって,腺管内に過染性の細胞が重層して,いわゆる異型上皮として,病理学上癌か否か問題となります.細胞診と同様に,false negative,false positiveとみなされる症例もあることは,胃生検の技術と共に生検組織の診断上重要な問題で,後述したい.
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.