今月の主題 胃の生検
主題
全身性疾患における胃生検
福地 創太郎
1
,
望月 孝規
2
,
豊島 範夫
2
1虎の門病院消化器科
2虎の門病院病理学科
pp.39-49
発行日 1974年1月25日
Published Date 1974/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111727
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胃生検の適応としては,胃癌や胃肉腫などの悪性腫瘍と,種々の良性の局在性病変との鑑別診断が第一に重要なものである.第二には,いわゆる慢性胃炎における胃粘膜内の病変のひろがりと進展を形態学的にfollow upする方法としても,胃生検が利用されている.しかし,第三の方面,即ち,種々の自己免疫疾患やヘモクロマトーゼなどの代謝疾患という全身性疾患の際の胃粘膜病変の生検組織学的検索については,あまり注目されていず,業績も多くない.
種々の全身性疾患において,食道,胃,腸管などの消化管に病変を合併することは衆知の通りである.たとえば,悪性貧血における胃粘膜の萎縮や,汎発性硬化症における食道の病変などは,それぞれの疾患の主要な病変を構成するものであるが,その他,種々の全身性疾患において,頻度や程度の差こそあれ,消化管の病変を伴うことが少くない.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.