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特集 胃生検特集
胃生検の手ほどき
An Initial Approach to Gastric Biopsy
高木 国夫
1
Kunio Takagi
1
1癌研究会付属病院外科
pp.797-802
発行日 1970年6月30日
Published Date 1970/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111353
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はじめに
胃生検法は胃内面から組織を採取する方法で,大きく3種に分けられる.始めは,吸引生検法(Suction Biopsy)である.この方法は胃内の生検が盲目的でびまん性病変,たとえば胃炎に適しているが,限局した癌,潰瘍,ポリープなどの病変に対しては無力であった.次に胃鏡による生検法で,直視下に生検できるが生検する部位が制限され,また患者の苦痛が大きいためにあまり普及しなかった.第3の方法が,ここ数年来驚異的進歩をとげたファイバースコープを用いる胃生検法であり,現在,わが国で行なわれている方法である.ファイバースコープによる直視下胃生検(略して胃生検)を略して,生検という場合,biopsyの生検と,X線,内視鏡の精密検査の精検と混同するので,注意を要する.
X線,内視鏡検査の進歩により,胃内の微細病変が発見され,その肉眼的形態から良性悪性の鑑別診断がなされているが,良性か悪性かに迷う症例に多く出くわす.そこでこの際,X線,内視鏡検査で発見された病変から,直接組織を採取して診断ができればという切実な要求の上にたって,胃生検が生れて来たのである.
ファイバースコープによる胃生検は,1964年に臨床的に用いられて,ようやく6年を経たが,その間胃生検専用のファイバースコープの技術的開発が盛んに行なわれ,現在臨床的に用いるに,ほぼ満足しうる段階に達している.
最近開発された新しいライトガイド方式の生検用ファイバースコープについて説明し,胃生検の方法,生検組織の処置ならびに現在の胃生検の問題点につき,簡単に解説し,御参考に供したい.
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