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編集後記
牛尾 恭輔
pp.1332
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102707
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かつて,膠原病でみられる腸病変のX線像と言えば,バリウムの通過遅延,蠕動の低下,狭窄などといった大まかな所見であり,その像も充盈像,粘膜像や不完全な二重造影像が主体であった.それが今回の特集号では二重造影法で検討され,直接所見と間接所見の区別もなされてきている.膠原病の腸病変も,二重造影法によってようやく"確かな所見"として登場してきて,微小病変,X線像の経過など,控えめだが新知見に富む特集となった.この特集を支えた八尾グループの業績には感服せざるを得ない.
ところで,この編集後記を書くため,すべての原稿を読み終えた日に,青崎らの症例「multiple lymphomatous polyposis様の消化器浸潤を呈した成人T細胞白血病の1例」と全く類似の注腸所見を示した患者の検査を担当し,ATLと診断しえた.カルテを見ると,はたして末梢血で白血球が18,200,腫瘍細胞が95%でATL抗体も陽性であった.これだから,臨床にすぐ役立つ形態診断学はやめられない.
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