--------------------
編集後記
牛尾 恭輔
pp.1394
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110090
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号は「胃と腸」でvillous tumorを初めて主題とした特集号である.その背景には最近におけるX線,内視鏡の進歩と普及により,古典的なvillous tumorの形態に合致しない例や,比較的小さく扁平な病変が次第に発見されるようになってきたことがある.その結果,各研究者の問で概念上の見解の相違もみられるようである.そこで日本におけるvillous tumorの実態をそろそろ明らかにし,外国で言われていることが本当に正しいか否かを吟味し,誤っているところは正したいという目的意識が生まれ,本号の企画となった.序説の2題(八尾氏,中村氏)は問題点を的確に浮き彫りにし,10題に及ぶ主題の各執筆者はそれぞれ臨床,病理の立場から,定義,癌合併率,生物学的位置づけ,病変の取り扱い方などについて,率直に見解を示された.本号を読めば,villous tumorに対する現況が理解できる.それと同時に読者は各執筆者の間で,定義やvillous adenomaとみなすその量的割合について,微妙な差異があることに気付かれるに違いない.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.