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編集後記
牛尾 恭輔
pp.140
発行日 2005年1月25日
Published Date 2005/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104271
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写真と図版を多くして,視覚的な編集に重点を置く本誌「胃と腸」としては,画像・写真が少ない特集号となった.しかし,中身は濃い.胃癌に対する画像診断,疫学,内視鏡治療の変遷,化学療法,外科療法に温故知新が詰まっている.消化器病学の進歩の成果が,臨床医家に理解されやすいように書かれている.
わが国で初めて,他の学会に先駆けて,学会による治療方針のガイドライン(2001年)が作成されたのも,胃癌についてであり,標準化とともに胃癌の治療も個別化の時代に入って来つつある.「Helicobacter pylori と胃癌」の関連についても,分子生物学的な解析が行われ,少しずつ明らかにされてきている.ここにも温故知新がうかがえる.ところで,最近,温故知新から生まれて,より積極的でより行動的な温故創新という用語が,注目を浴びている.胃癌の歴史は,診断と治療の原点であり,教師でもある.またわれわれは医学の継続性という道の中に身を置いている.医学の継続性を常に考えながら,できればそこから1つでもよいから,新しい創新への階段を昇っていきたいものである.本特集号が,その糧になれば幸いである.
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