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編集後記
牛尾 恭輔
pp.1086
発行日 1989年9月25日
Published Date 1989/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106578
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胃粘膜下腫瘍(SMT)の診断に,最近,超音波内視鏡,免疫組織化学的方法が取り入れられ,新たな展開が生まれつつある.そこで本誌で14年ぶりに企画されたのが本特集号「胃粘膜下腫瘍の診断―現況と進歩―」である.隔靴搔痒の感があった胃SMTの診断法に,ようやく手が直接届くようになったことを,読者の方々はわかっていただけよう.
主題論文はそれぞれ現況と進歩をよく示している.浜田らはSMTの長径,厚さと粘膜面での大きさ,高さとの比較でX線診断の描出能とその限界を科学的に掘り下げ,川口らはレーザーやエタノールで人工的に潰瘍を作製し,そこからの生検で腫瘍成分の検出率を論じている.次に相部らや吉田らの示した超音波診断は,胃壁の5層構造を基に,エコー像の分析で,腫瘍の鑑別診断が可能であることを,美しい画像で説得力をもって示している.それを基に超音波内視鏡像はSMTの診断に今や必要不可欠な検査法であると論陣をはっている.
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