Coffee Break
システアミンによるBrunner腺阻害
pp.356
発行日 1982年3月25日
Published Date 1982/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108825
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ラットに塩酸システアミンを投与することによって容易に実験十二指腸潰瘍を作ることができる.このメカニズムについて矢花らは詳しく検討しているが,まだ全く明らかになったとは言い切れない.
システアミン潰瘍の成因には胃酸分泌の亢進は確かに関与していると考えられるが,同じだけの酸分泌をガストリン刺激によって起こさせても十二指腸潰瘍はできてこない.当然十二指腸粘膜の防御機構に関して考えを及ぼさないわけにはいかない.この防御機構の1つとして粘液含有のBrunner腺分泌を重視するむきもある.たとえば,Hartialaらはシンコフェンをイヌに投与してBrunner腺分泌を抑制したら犬に十二指腸潰瘍をも作ることができたということである.Selyeはシステアミン潰瘍の元祖であるが,この人もまた,3,4-toluendiamineというシステアミン類似物質でラットに十二指腸潰瘍を作り,Perkinsらは,これがやはりBrunner腺分泌を阻害することをつきとめた.Kirkegaardらは最近(Scand. J. Gastroent.16:93~96,1981)システアミン投与によってラットの十二指腸のBrunner腺分泌が著明に抑制されていることを発表しているが,引き続いて同グループはBrunner腺分泌細胞は粘液含量が減り形も著しくフラットになることを見付けて報告(同誌16:459~464,1981)した.ガストリンでいくら刺激してもこういう変化は生じないのだそうである.しかも,システアミンのこの作用の原因はBrunner腺の分泌阻害ではなく合成阻害なのだそうである.
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