Japanese
English
特集 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)の内視鏡診断と治療
[SNADETと鑑別を要する病変]
Brunner腺関連癌
Duodenal adenocarcinoma associated with Brunner’s gland
上田 智也
1
,
上堂 文也
1
,
北村 昌紀
2
Tomoya Ueda
1
,
Noriya Uedo
1
,
Masaki Kitamura
2
1大阪国際がんセンター消化管内科
2大阪国際がんセンター病理・細胞診断科
pp.752-753
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000765
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疾患の概要
Brunner腺は十二指腸球部から乳頭部の粘膜下層(一部は粘膜固有層)に存在する外分泌腺で,重炭酸を分泌し,胃から流入する胃酸を中和している。通常は陰窩内に開口しているが,びらん・潰瘍などが形成された際にその修復過程で管腔内に直接開口し,十二指腸粘膜表層が胃腺窩上皮で置換・被覆される(胃腺窩上皮化生)1)。Brunner腺関連癌を含む十二指腸の胃型腫瘍は異所性胃型上皮に関連して発生すると考えられており,Brunner腺の分布に一致して乳頭より口側の近位十二指腸に好発する。Brunner腺関連癌はBrunner腺の局在に従って上皮下に存在し,SMT様隆起の頂部に陥凹を伴うことが多く2),同部のNBI拡大観察での表面微細構造の消失や不整な微小血管像が診断に有用と報告されている3)。しかし,表面の大部分が非腫瘍上皮で覆われているため通常内視鏡のみでの診断は容易ではなく,陥凹部のNBI拡大観察でもBrunner腺開口部の過形成と腫瘍の鑑別は時に困難である。胃型腫瘍は病変の丈が高いため生検による線維化のリスクが低く,また小さな病変であっても担癌率が高いことから4),胃型腫瘍が疑われる病変に対しては積極的に生検を行い,治療を考慮することが重要である。
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