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書評「食道静脈瘤の診かたと治療」
亀田 治男
1
1東京慈恵会医科大学
pp.871
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110267
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近年,肝硬変症の死因となる肝性昏睡,腹水,上部消化管出血などの治療が進歩し,その経過と予後に著しい変化がみられている.門脈圧充進症に伴う食道静脈瘤とその対策は特に重要な意義をもっており,診断や殊に治療の面において画期的な進歩を遂げた.
わが国では1979年に日本門脈圧充進症研究会が食道静脈瘤内視鏡所見記載基準を設定したが,この分類は広く普及し応用されている.食道静脈瘤の治療法として,食道離断術,選択的シャント術などの手術療法が行われているが,更に内視鏡的硬化療法が加わり,治療法の選択と方法に種々の考えと主張とが提起されている.食道静脈瘤の診断と治療は,国内的にも,国外的にも注目されている臨床的に重要な問題である.特に,静脈瘤破裂による上部消化管出血の恐れのある状態を的確に診断すること,破裂を予防し,出血例について確実に止血することが診断と治療の目標となる.
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