特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅲ.検査,保存的処置と薬物療法
食道静脈瘤硬化療法
川崎 誠治
1
,
三條 健昌
1
,
出月 康夫
1
1東京大学医学部第2外科
pp.758-759
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209368
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□硬化療法施行前における薬物療法
1.肝障害に伴う問題点
腹水 肝障害が強く手術不能の症例には,腹水を有するものが多い.このような症例は,硬化療法時の送気により術後腹部膨満の愁訴が強くなり,時として呼吸抑制,換気障害があらわれることもある.したがつて,術前に電解質異常に注意しつつ利尿剤(ラシックス20mg/日,ソルダクトン100〜200mg/日)を静注あるいは輸液に加えて点滴静注し,腹水を可及的にコントロールする.
凝固能の障害 プロトロンビン時間40%以下の凝固系の障害が高度と思われる症例に対しては,輸血路確保の意味も含めて硬化療法前および施行中に凍結血漿4〜8パックをゆつくり輸注し,凝固因子の補給をはかる.
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