Japanese
English
今月の主題 胃底腺領域の分化型癌
序説
胃底腺領域の分化型癌
Introduction
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
キーワード:
胃底腺領域
,
分化型癌
,
病理・臨床的特徴
Keyword:
胃底腺領域
,
分化型癌
,
病理・臨床的特徴
pp.995-996
発行日 1994年9月25日
Published Date 1994/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105903
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- Abstract 文献概要
本号では雑誌「胃と腸」で初めて,“胃底腺領域に発生した分化型癌”が主題として取り上げられた.胃底腺領域の癌は,今まで,主に未(低)分化型癌の発生母地やlinitis plastica型癌の初期病変や自然史の観点から話題の焦点になっていた.
しかし,①胃底腺領域にも,分化型癌がかなりの頻度で発生するらしいこと1),②胃底腺領域に細胞異型度が低い小腸型(完全型腸上皮型)分化型癌が好発すること,この癌は経験が浅い病理医では癌と組織診断されないことがしばしばあること2),③粘膜内に分化型癌部分を有することが多いcarcinoma(por 1,por 2)with lymphoid stroma(lymphoid infiltration)は80~100%でEpstein-Barr virus感染陽性で,しかも胃底腺領域に好発すること3)~5),④胃底腺領域に発生する胃腺腫はPaneth細胞やargentaffin細胞の陽性頻度や程度が高いこと(完全型腸上皮化生に近似した細胞形質)6)7),⑤胃底腺領域に発生する腸上皮化生は完全型が多いこと7)8),などが最近明らかになってきた.
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