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編集後記
長南 明道
pp.1198
発行日 1999年8月25日
Published Date 1999/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102812
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EUS(超音波内視鏡)が世に出て20年が過ぎようとしている.EUSはリアルタイムに消化管壁の断層像が得られるため,早くから消化管癌の深達度診断に期待されてきた.しかし,胃に関してみると,早期胃癌ではUl(潰瘍)を伴うものが多いにもかかわらず,エコーレベル上,癌とUlに伴う線維化巣の鑑別ができない.ゆえに深達度診断における各種のパターン分類が現れたが,Ulを伴わない他臓器に比べ難解であるとの声をしばしば耳にしてきた.そこで本号は早期胃癌に絞って企画がなされた.
わが国のEUSの第一人者の方々だけあって,各論文とも迫力のあるEUS画像を呈示している.特に安田論文はEUS機器の歴史,および画像の進歩がよくわかり興味深かった.診断能については木田,中村,柳井諸氏がX線・内視鏡と比較しながら詳細に述べている.コンベンショナル型,細径プローブともに,Ul(-)病変ではⅠ型癌,Ul(+)病変では開放性潰瘍を合併するⅡc+Ⅲ型sm癌,更に1,000μm以下のsm浸潤癌において診断が困難であり,X線・内視鏡との併用が大切であるとの論調であった.一方,望月論文をみると,Ul(-)癌,Ul(+)m癌の診断基準は各施設ともよく似ている.残るUl(+)sm癌の診断基準を詰めることで早期胃癌EUS診断基準の統一が期待される.
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