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編集後記
長南 明道
pp.1674
発行日 2007年10月25日
Published Date 2007/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101218
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ESDの適応において,組織型は分化型胃癌とされている.しかし,病巣には分化型癌のみで構成されている例の他に,未分化型癌を混在する例もみられる.しかも,未分化型癌成分にも多寡がある.未分化型混在早期胃癌はESDの適応に全くならないのか.術後に未分化型癌成分が判明した場合の対応はどうすべきかが本号の大きなテーマである.未分化型混在早期胃癌では純分化型に比べて,腫瘍長径が大きく,tub2混在が多く,脈管侵襲陽性率,リンパ節転移陽性率が高い(滝沢,藤崎論文).また,SM浸潤率も高い(藤崎論文).さらに,範囲診断困難なものが多い(長浜,松田,藤崎論文).ゆえに現段階では未分化型混在早期胃癌のESDは慎重に対処すべきと考えられる.一方,未分化型混在のM癌,ly0,v0症例においてULの有無,大きさにかかわらずリンパ節転移は認められなかった(滝沢論文)ことから,ESD後に未分化型混在が判明した場合,M癌でly0,v0であれば経過観察の可能性がありそうである.また,境界が不明瞭な例ではNBI拡大観察が有用と言えそうである.今後の展開が楽しみである.
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