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編集後記
長南 明道
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1仙台厚生病院消化器内視鏡センター
pp.119
発行日 2013年1月25日
Published Date 2013/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113711
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早期胃癌に対するESDの普及・適応拡大に伴い,以前にも増してULの有無が内視鏡治療の適応決定や根治度判定の重要な因子となっている.しかし,臨床でUL(+)と診断しても,病理学的にUL(-)と判定されたり,逆に臨床でUL(-)と診断したにも関わらず,病理学的にUL(+)であったりしてULと生検痕の鑑別に迷うなど,臨床と病理が乖離することも少なくない.そこで,本特集の企画小委員である小野,海崎,長南で検討し,UL(+)早期胃癌の臨床病理学的特徴,診断,内視鏡治療の実態を明らかにすることを目指した.
まずUL(+)早期胃癌の臨床病理学的特徴について,入口らは手術例も含めた検討で,潰瘍合併率が分化型30mm以下では18.4%,未分化型20mm以下では13.6%であったとしている.藤崎らもESD症例のうちUL(+)例は14.3%であったとしている.このようにESD適応拡大病変の潰瘍合併率は2割未満とみてよさそうである.また (1) UL(+)早期胃癌では大きな病変が多いこと(長井ら),(2) 未分化型が多いこと(長井ら),(3) SM癌が多いこと(長井ら,藤崎ら),(4) ULの深さはUL-IIが圧倒的に多いこと(海崎ら,三宅ら,藤崎ら),(5) UL(+)M癌では分化型癌は未分化型に比べ,線維化径,線維化厚ともに大きいものが多いこと(海崎ら),(6) UL(+)SM癌では,分化型癌はULの線維化巣外での癌の浸潤が主で,潰瘍中心部には癌浸潤を認めないものが多いこと(海崎ら)などの特徴が挙げられている.
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