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編集後記
長南 明道
1
1仙石病院
pp.985
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202947
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「胃癌取扱い規約 第14版」(2010年改訂)では組織型分類の特殊型に内分泌細胞癌,リンパ球浸潤癌,肝様腺癌が加わった.第15版(2017年改訂)ではさらに胃底腺型腺癌が追加された.本誌では45巻12号(2010年)で特殊型胃癌を特集したが,12年後の現在,病理組織学的,あるいは内視鏡診断学的に新たな知見が得られたのだろうか.臨床医が実際に特殊型胃癌に遭遇したとき,希少病変が多い故にその取り扱いに苦慮しているであろう現状を踏まえ,診断の指針となる号たらんことを期待し,小野裕之,海崎泰治とともに本号「特殊型胃癌—組織発生と内視鏡診断」を企画した.なお,胃底腺型腺癌は本誌でもしばしば特集されており,疾患についての認知度も向上している.そこで今回は胃底腺型腺癌に関しては臨床病理学的特徴を示すにとどめた.その他の特殊型胃癌については,頻度が低いこともあり,症例が豊富なhigh-volume centerを中心に執筆を依頼した.各執筆者にはご苦労をかけた.主題論文の一例一例が症例報告ものである.
カルチノイド腫瘍,リンパ球浸潤癌,胃底腺型腺癌の予後は良好であることは広く知られている.しかし,その他の特殊型胃癌は進行が早く,ほとんどが進行癌として発見され,予後は不良あるいは極めて不良である.このことは吉永論文において提示された腺扁平上皮癌,扁平上皮癌,未分化癌,絨毛癌,癌肉腫,浸潤性微小乳頭癌のことごとくが進行癌であることからも理解されよう.
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