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編集後記
長南 明道
pp.1266
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101431
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「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン(2006年)」は,膨大な数の内視鏡検査を施行し,内視鏡治療可能な早期胃癌発見に情熱を傾けている多くの臨床内視鏡医に少なからぬショックを与えた.本特集をみてみると,内視鏡による対策型検診で胃癌発見率は0.91%,早期癌率82.4%(加藤論文),内視鏡による任意型検診では胃癌発見率0.51%,早期癌率74.3%(古川論文),胃癌発見率0.55%,早期癌率86.4%(細川論文)と,いずれもX線による対策型検診に比べ,内視鏡で高い胃癌発見率と早期癌率を示している.そして,問題となっている内視鏡スクリーニングによる胃癌の死亡率減少効果に関しても,コホートによる検討でX線検診群と同等以上に有効であるとしている(加藤論文,細川論文).何とも心強い結論である.一方,内視鏡検診の偽陰性率は3.5~31.4%と,報告により大きく異なっている.偽陰性の定義,検診形態,規模,がん登録の精度の地域差,そして内視鏡施行医の技量と経験など,様々な要因が影響していると思われるが,ある一定の割合で偽陰性が生じることは間違いない.画質のよい内視鏡にこだわることも大切であるが,胃内の十分な洗浄・送気伸展,使用機器の特性と見逃しやすい部位や病変の認識,撮影順序の一定化などの基本に立ち返り,偽陰性を減らす努力が必要であろう.
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