増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
先天性(代謝)異常のスクリーニング
先天性酵素異常
横山 䧺
1
1弘前大学医学部小児科
pp.265-268
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909827
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グルコース6リン酸脱水素酵素(G-6-PD1〜3))
検査の目的・意義
G-6-PDはグルコース6リン酸(G-6-P)→6ホスホグルコン酸(6-PG)の反応を触媒する,五炭糖回路の律速酵素である.この段階にはNADP→NADPHの反応が共役しており,その点G-6-PDはNADPHを供給することにより,細胞を酸化的侵襲から防御する重要な役割を担っている.本酵素の欠乏した赤血球は酸化的刺激に対し,容易に変性してハインツ小体を形成して溶血する.赤血球G-6-PD欠乏症は,世界で保因者が1億人以上と推定される,最も普遍的な先天性赤血球酵素異常症である.
本症は遺伝的変異型が多く,症状のスペクトラムも無症状から溶血まで多様であるが,溶血の病態は薬剤誘発性溶血性貧血と慢性溶血性貧血に大別される.酸化的薬剤(サルファ剤や解熱剤,その他)の服用後1〜3日で赤褐色尿を呈する急激な溶血を示した場合や,原因不明の慢性非球状性溶血性貧血を呈する例では,赤血球のG-6-PD活性を測定する必要がある。
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