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ピルビン酸キナーゼ異常症
従来,ピルビン酸キナーゼ(PK)欠乏症と考えられてきた例についてさらに電気泳動,キネティックス,抗体中和反応を進めた結果,欠乏症というよりはむしろ異常蛋白構造をもった先天性酵素異常(variant)である例がみつかった.PK-Sapporo,PK-Nagasaki,PK-Kiyose,PK-Tokyo-1,PK-Tokyo-II,PK-Maebashi(未発表,群馬大3内科例),PK-Ube(未発表)であり,なお検索中の例を入れると10種類にも及ぶと思われる.加えて赤血球PK(PK-R)が全く認められない,いわゆる"classical type of PK deficiency"と呼ばれるものもあり,大分県立病院,大阪小児保健センター,三重大小児科の3家系4例がある.各家系の異常PKの性質にはそれぞれ違いがあり,とくに興味深いことはPKの性質そのものが患者の臨床像を反映していると考えられることである.
PKには4つのアイソザイムがあるが,"classical type"では赤血球PK(PK-R)が全く認められず,肝のPK-Lも認められない.赤血球にはわずかに白血球,脾にあるPK-M2が認められるのみである.PK-LもPK-Rも電気泳動では異なった移動度を示すが,PK-R抗体により両方とも中和され,構造上,遺伝学上近いものと思われる."classical type"の場合,症状が最も重症で患者は生下時より強い溶血性貧血を示し,輸血を欠かすことができず,輸血の影響のため患者自身の赤血球について検索することは不可能で,摘脾後はじめて"classical type"と診断できるほどである.摘脾により貧血の改善が望める.大分県立病院例では1ヵ月以上輸血なしでは過ごせなかったものが摘脾後1ヵ年以上輸血なしで過ごすことができた.
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