特集 神経学における最近の研究
<臨床>
糖原病の酵素異常とアイソザイム
垂井 清一郎
1
1大阪大学病院第二内科
pp.840-842
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904955
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1.糖原病の分類と欠損酵素
糖原病はグリコーゲン代謝に関与する酵素の先天的な異常にもとづいて生体組織にグリコーゲンの異常蓄積を招く疾患である。グリコーゲン代謝にはいくつかの酵素が関与しており,それぞれの遺伝子支配も異なるから,糖原病は種々の疾患単位を含むことになる。
かつてSIEGMUND1)は臨床症状や病理学的所見に基づいて糖原病の分類を試みたが,今日では欠損酵素の種別の上に立った病因論的な分類に統一されている。1950年代前半のCORI2)の4型分類に始まり,ILLINGWORTHBROWNら3)はI〜Ⅶ型の分類を提唱した。これが現代における糖原病分類の骨格であり,HERSら4)もこれを実証性と理論的観点から支持している。HUGら5)は1966年I〜Ⅸ型の複雑な分類を提唱し,さらに1972年これを改変し6),Ⅶ型の筋ホスホフルクトキナーゼ(PFK)欠損症の後にさらにⅧ〜X型を加えた。しかし欠損酵素同定の不完全なものが含まれており,HERSら4)の批判など必ずしも一般の支持を得ていない。
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