特集 酵素検査法
血清
酵素としての補体 先天性血管神経性浮腫の診断
永木 和義
1
1大阪府立成人病センター免疫血清検査科
pp.1359-1363
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907445
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はじめに
補体(Complement, C)は単一な物質ではなく,現在までに少なくとも9成分が知られている.これらの成分は抗原抗体結合物と反応する順序によりC1, C 4, C 2,C3,C5,C6,C7,C8およびC9と名づけられており,このうちC1はさらにC1q, C1rおよびC1sの3成分に分かれる.これらの補体成分の中のいくつかは酵素活性をもつが,最も早く知られかつ重要なものが,C1のもつエステラーゼ活性で,活性化されたC1(このうちのC1sがその活性をもつ)はまたC1エステラーゼとも呼ばれている.
C1エステラーゼは血清中では通常活性をもたない前駆物質(Proesterase)の形で存在し,抗原抗体結合物,トリプシン,プラスミンなどにより初めて活性化される.しかし生体内ではこの活性化を阻害する物質が存在する.これはC1エステラーゼ抑制因子(またはC1不活性因子,C1INH)と呼ばれるα2—グロブリン領域に電気易動度をもつ分子量約16万のニューラミン糖タンパク体で,活性化されたC1エステラーゼ活性もおさえるし,また近年判明したことであるが,C1r,カリクレインなどの活性も阻害する.
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