増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
血中薬物濃度
免疫抑制薬(シクロスポリン)
打田 和治
1
,
高木 弘
2
1名古屋第二赤十字病院移植外科
2名古屋大学医学部第2外科
pp.258-259
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909825
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検査の目的・意義
シクロスポリン(CS)は臓器移植における新しい強力な免疫抑制薬であり,その登場によって臓器移植の新しい幕が開けられたといって過言ではない.現在,CSを中心とした多剤免疫抑制療法の導入により,生体腎移植であれば95%,死体腎移植でも85%の移植腎1年生着率が得られ,良好な腎移植成績を示している.また,臓器移植以外の領域においても,例えばBehçet病,尋常性乾癬,特発性再生不良性貧血,原発性胆汁性肝硬変,微小変化ネフローゼ症候群,関節性リウマチ,多発性筋炎/皮膚筋炎などの自己免疫疾患,あるいは免疫調節障害の疾患の治療にも有効性が認められている.
しかし,その著しい免疫抑制効果の反面,CS製剤そのものに起因する薬理動態の不安定性,狭い治療濃度域による不安定な薬効,そして腎毒性に代表される薬剤の直接の副作用が,CS免疫抑制療法下の患者管理を困難にしている.このため,CS免疫抑制療法を安全かつ有効に遂行するには,CsA血中濃度モニタリング(TDM)による投与量の決定が不可欠とされている.
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