今月の主題 最新の肺癌診療
肺癌の集検
守谷 欣明
1
1結核予防会岡山県支部・診療所
pp.392-394
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909603
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ポイント
1)肺癌集検はX線検診と肺門部肺癌の高危険群に喀痰細胞診を併用する方式で行い,肺癌発見率は男ではX線発見の10万対80に細胞診発見の30を加えて100を超す高率になり,女ではX線発見のみで,10万対15から20である.
2)集検X線発見肺癌は腺癌が60%を占め,臨床病期I期が63%,切除率が64%,治癒切除率が45%で,これに比し同時期の症状発見肺癌は腺癌が44%,I期が25%,切除率が35%,治癒切除率が19%で差があった.
3)5年生存率は全症例で集検群が37%,症では54%と40%,術後病期I期では79%と70%であった.集検群は切除率が症状発見群に比し2倍近く,また術後病期I期が多かった.
4)比較読影で蓄積した肺癌の1年前のX線所見に習熟することにより早期癌の検出率を高めることが期待される.
5)わが国の肺癌は欧米に比し腺癌が多く,40%を占め,扁平上皮癌がこれに次ぎ,悪性度の高い小細胞癌と大細胞癌は合わせて20%以下である.肺癌集検は実施体制の整備ができたところから,精度の高い検診を行うことで成果が得られ,肺癌集検に対する信頼が得られる.
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