今月の主題 最新の肺癌診療
的確な診断
X線写真の読み方と確定診断の進め方
大松 広伸
1
,
江口 研二
1国立がんセンター・内科
pp.396-405
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909604
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
1)胸部X線像は肺癌診断の第一歩である.
2)ハイリスク症例や肺癌が疑われる症状があれば胸部X線写真をとらなければならない.
3)原発巣が小さくても先に転移症状が初発で発見される(とくに骨,脳など)ことがある.
4)肺門型扁平上皮癌は,腫瘤影より先に2次陰影や容積変化が出現しやすく,喀痰細胞診で陽性所見を得やすい.
5)小細胞癌は早期発見は困難であり,診断時すでにリンパ節転移や遠隔転移をきたしていることが多い.
6)腺癌では進展に伴う収縮性変化のため数カ月の経過では大きさが変わらないことがある.
7)肺野孤立性陰影は癌と良性疾患との鑑別が問題となることが多い.
8)同一人の経時的な比較読影が,精査か否かの振り分けに重要.
9)喀痰細胞診が陽性であっても可能であれば組織診を得ることが望ましい.とくに小細胞癌などでは治療方針にかかわり,また高分化腺癌などでは悪性か否かの境界病変もあり,判断の難しいことがある.
10)Thin slice CTなどの画像上癌が疑われるが確定診断が得られない場合は,現時点では開胸生検を行う必要がある.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.