今月の主題 肺
技術解説
肺癌集検と細胞診
吉見 直己
1
,
高橋 正宜
2
Naoki YOSHIMI
1
,
Masayoshi TAKAHASHI
2
1岐阜大学医学部第1病理学教室
2スペシアルレファレンスラボラトリー
pp.117-122
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913247
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本邦にて癌が死因第一位になって5年ほとになるが,その主役となったのが肺癌である.疫学的にも癌死亡一位の胃癌を今世紀中には追い越すことは確実とされている1).これを防ぐために各地で二次予防,すなわち早期発見,早期治療が叫ばれ,対がん協会を中心として一部の市町村レベルの自治体にて肺癌集検が施行されているが,まだ十分な対応はとられていない2),その集検方式が従来の結核を対象とするX線間接撮影を基盤とするために肺野型肺癌の発見には大きな寄与を示しているが,近年増加する扁平上皮癌を主とする中心型肺癌にはいたって非力てある.このため老人保健法での子宮癌検診の普及とともに細胞診が注目され,肺癌早期発見にも喀痰細胞診が導入され威力を示している3).本稿では肺癌集検での喀痰細胞診についてその技術を中心に述べる.
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