増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
腹部
総論
読影の基本とポイント
大友 邦
1
1東京大学医学部附属病院放射線科
pp.209
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908391
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基本姿勢—検出→鑑別→最終診断
読影とは,異常所見を検出し,その原因・由来を鑑別し最終的な診断に至る作業である.検出の段階では「所見を丹念に拾う」ことがすべてである.単純な見落としを防ぐには,領域ごとに見る順番を決めておくのが望ましい.ただ正常変異を含めた異常所見に関する知識がなければ,目には映っていても,異常所見として認識できない(見えども見えず)という状態に陥る危険がある.
鑑別の段階では,所見の由来臓器あるいは領域と,反映されている病態(主としてルーペ像あるいは弱拡大のミクロ像.例:浮腫,出血,線維化,細胞成分の増加)を推定する.鑑別では,なるべく間口を広くして,様々な種類の疾患の可能性(先天性疾患,外傷,炎症,腫瘍など)を考えることがきわめて重要である.臨床情報や各種検査データなしに鑑別はできないが,一方で臨床診断を絶対視しない姿勢が求められる.最終的な診断には,病名とともに進展範囲に関する分析が求められる(例:悪性腫瘍におけるリンパ節転移の有無).
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