増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
胸部
各論
胸部のリンパ節・胸腺
佐々木 康夫
1
1岩手県立中央病院放射線科
pp.198-206
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908390
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肺のリンパ流とリンパ節
肺小葉間隔壁および呼吸細気管支のリンパ流は気管血管束に沿って肺門部方向へと流入する.胸膜の表面にはリンパ管が網目状に走行しており,肺内のリンパ路とは小葉間隔壁を介して交通している.
リンパ節は,気管周囲,肺門,縦隔のみならず胸膜下や肺内にも存在する.左右のリンパ流は縦隔内で交通(cross over)しており,左肺のリンパ流が右肺の肺門や縦隔のリンパ節にも流入することがある(図1).肺癌の転移,悪性リンパ腫,サルコイドーシス,炎症および反応性過形成などでリンパ節の腫大を認める.腫大したリンパ節の画像診断上の鑑別診断は容易ではないが,縦隔と両側肺門部のリンパ節腫大(サルコイドーシス),各リンパ節の融合傾向(悪性リンパ腫),造影剤による増強効果(腎癌,甲状腺乳頭腺癌,サルコイドーシス,Castleman病)などを目安にする.なお,壊死性のリンパ節は,腫大していても造影剤による増強効果はない.石灰化したリンパ節を見た場合は,珪肺,結核,サルコイドーシス,アミロイドーシス,および悪性リンパ腫の治療後などを考える(図2)1,2).CTでは画像スライス厚が薄いほど小さなリンパ節の同定が容易になる.ただし,SN比が低くなるので,5mm前後のスライス厚が適切である.また,造影剤を投与したほうが血管とリンパ節を分離しやすい.MRIは造影剤を投与せずとも,血管とリンパ節の分離が可能である(図3).
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