増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
頸部
総論
読影の基本とポイント
八代 直文
1
1亀田総合病院放射線科
pp.119
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908373
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画像診断の基礎は,撮影法に関する知識,正常解剖の知識,病理統計学の知識,治療法に関する知識である.正常解剖の知識とは,平たくいえば画像に何が描出されているかを理解する能力である.局在性病変では,病変部以外は正常構造なので,正常構造を理解して初めて病変が見えてくるようになる.
頸部は気管,食道,脊柱,脊髄,大血管,胸鎖乳突筋などの主要臓器が体軸に平行に存在するという特徴がある.頸部精査の第一の手段はCTであることが多いと思うが,横断像では,上記の特徴を考え,見ている断面の前後の画像を常に参照するように心がけることが重要である.頸部の読影法にはいろいろなやり方があると思うが,ランドマークとして総頸動脈,内頸動脈,内頸静脈,外頸静脈などの主要脈管を同定し,全体のオリエンテーションを把握することをお勧めしたい.頸部リンパ節の評価は,頸部CT撮影のポピュラーな適応であるが,一般にリンパ節は上記の主要脈管に沿って存在する.脈管を十分同定し,リンパ節や腫瘤と鑑別するために,頸部CTでは造影が有効で,禁忌のない限り造影で撮影するほうが良い.
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