増刊号 CT・MRIアトラス—正常解剖と読影のポイント
腹部
総論
正常解剖
岡田 吉隆
1
1国際医療福祉大学保健学部放射線情報科学科
pp.210-217
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908392
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
腹部には,消化器系・泌尿器系・内分泌系・生殖器系などの多様な臓器と,それらに関連する支持組織・血管・リンパ管などが,複雑に入り組んだ形で分布している.読影を見落としなく進めていくためには,漫然と画像を眺めるのではなく,それぞれの臓器系を一定の順序で系統的に観察していくことが重要である.また,一つの臓器の病変が,隣接する全く別の重要臓器に進展していくことも腹部ではしばしば起こるので,各臓器をばらばらに見るだけでなく,常に周囲の臓器とのつながりを意識して読影すべきである.個別の臓器の詳しい正常解剖は各論で触れられるので,ここではおおよその臓器の配置と,それらのつながりを中心に説明する(図1).
腹部のCTやMRIの画像では,脂肪組織の中に様々な臓器が分布している.腹腔内の脂肪が多い人では,各臓器の形態を観察するのが容易であるが,やせて脂肪が少ない人の場合は,臓器の境界が不鮮明になり,病変の有無もわかりにくいことがある.腹部臓器は腹腔内臓器と後腹膜臓器に大別できるが,CT・MRI上は腹腔内と後腹膜を一見して区別することはできない.後腹膜臓器は比較的一定の位置に認められることが多いのに対して,消化管などの腹腔内臓器の場合は,体型などに左右され,位置や形の個人差が大きいことに注意する必要がある.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.