内科エマージェンシー 私の経験
一時ペーシングについての2,3の出来事(苦渋編)
高橋 俊明
1
1平鹿総合病院第2内科
pp.347
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907162
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ある日のあわただしい外来に,90歳の女性がめまいを訴えて来院した.心電図は完全房室ブロックで,心拍数36回/min.高齢ではあるがペースメーカが必要である.主治医に指名した自分より年長の研修医“ヒロミ先生”を従えて,レントゲン室に向かった.彼は塾教師から一転,医学部に入った苦労人だ.
一時ペーシングは何度もやっているが,トラブルを生じたことはない.“よく見てて!”と言わんばかりに素早く右内頸静脈にシースを入れた.ペーシングカテを右室心尖部へ押しつけ閾値測定.1.5Vとちょっと悪い.改めてよい場所を探そうとカテ操作をしていると突然,患者が左胸部の痛みを訴えた.なに?狭心症?しかしST-Tに変化はない.5分もすると痛みは軽減したので病棟へ上がった.
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