連載 病とともに紡ぐ援助論・9
「稀有の出来事」/「人知れず…」
ひらす けい
pp.1080-1084
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902719
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真冬とは言え,南向きの病室に降り注ぐ陽光は,温室のような居心地の良さを恵んでくれる。中庭の樹木は,大小さまざまな線からなる幾何学模様を呈し見る者の目を楽しませてくれている。その枝の先端には小さな粒々が顔を出し,来るべき季節への準備を着々と進めている。眩しさを避けるためにカーテンを引くのだが,布1枚を隔てても届けられる暖かさから,命を育む適度のエネルギーの合理性を思い起こし,この惑星に生命が誕生したことの不思議をあらためて思った。
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