今月の主題 カルシウム・骨代謝異常症と骨粗鬆症
カルシウム・骨代謝異常症理解のための基礎知識
カルシウム代謝異常症への臨床的アプローチ
滋野 長平
1
1京都大学医学部附属病院放射線部
pp.985-988
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906832
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ポイント
●ヒトは陸生生物であるため,ミネラル成分はすべて外部環境から体内に取り込む必要がある.
●Caホメオスタシスの中核を成す装置はCa受容体である.そして,Caホメオスタシスを調節する重要な全身性ホルモンとして,副甲状腺ホルモン(PTH)や1,25ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)などが進化してきた.
●カルシトニンは,少なくとも胎生期を除いてCa調節ホルモンとしての生理的な役割をもっていない可能性が高い.
●血中全Ca濃度や補正Ca濃度がイオン化Ca濃度の指標となりうるのは,血液pHや血漿蛋白のCa結合能に異常のない場合に限られる.
●人体は負のCaバランスに傾きやすい.
●Caホメオスタシスの調節にはshort-loopとlong-loopの制御機構があり,骨からのCa動員が補償されるのは,腸管からのCa吸収が十分ある場合に限られる.
●高Ca血症刺激に対する制御機構では腎機能がネックになる.
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