増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
先天性(代謝)異常のスクリーニング
新生児マス・スクリーニング
大和田 操
1
1駿河台日本大学病院小児科
pp.445-447
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906416
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新生児マス・スクリーニングの対象疾患
特定の遺伝子の先天的な異常に起因する疾患は,先天性代謝異常症(inborn errors of metabolism:IEM)と総称され,メンデル遺伝を示し,その多くに今日なお有効な治療法が存在しない.しかし,1934年に初めて報告されたフェニルケトン尿症(phenylketonuria:PKU)では,1953年にフェニルアラニン(Phe)摂取制限食が有効なことが報告され,1961年には本症の簡易スクリーニング方法が開発されて,欧米では1960年代後半からPKUの新生児マス・スクリーニングが広く行われるようになった.また,治療法があるPKU以外のIEMについてもスクリーニング方法が開発されている.
わが国では,1977年からPKUを含む5種類のIEMにっいて公費による新生児マス・スクリーニングが開始され,1980年には先天性甲状線機能低下症(クレチン症)が追加された.一方,約20年の成績から,ヒスチジン血症は良性のIEMと判定されてスクリーニングから外され,1989年からは先天性副腎過形成症の一種である21-ヒドロキシラーゼ欠損症が加わった.1999年現在,わが国で新生児マス・スクリーニングの対象となっている疾患とその特徴を表1に示す.
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