増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
糖質および関連物質
乳酸,ピルビン酸
戸谷 誠之
1
1国立健康・栄養研究所母子健康・栄養部
pp.360-361
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906381
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異常値が出るメカニズム
乳酸(α-オキシプロピオン酸)は,αヒドロキシ酸の一つで,骨格筋,脳および赤血球でのグリコーゲン代謝に始まる解糖系代謝経路の最終産物として,嫌気的にピルビン酸(pyruvate)から産生される.血液中の乳酸濃度は主に肝臓や腎臓,骨格筋における乳酸合成や代謝回転の結果を示す.正常な代謝回転が保たれている場合,乳酸総産生量の約30%は肝臓の糖新生系(Coriの回路)の基質として利用される1).血液中の乳酸は一価の陰イオンとして存在し,ピルビン酸との濃度比がほぼ10:1に保たれている.この比率に乱れを生じる原因には,次の場合がある.第一にNADH:NADは変化せずピルビン酸値が急増した場合と,第二にNADH:NADは増大したがピルビン酸値は変化しない場合,さらにこの二つの現象が合わさった場合である.
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