臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
82.乳酸とピルビン酸
玄番 昭夫
1
1中央鉄道病院中検
pp.1824-1825
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216186
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異常値を示す疾患
全血(静脈血)を用い,酸素曲定量法で空腹時正常人の乳酸を測定すると,3〜15mg/dl(0.33〜1.67mmol/l)であり,一方,ピルビン酸は0.3〜0.9mg/dl(0.034〜0.102mmol/l)である.動脈血を用いてもほぼ同じであるが(ただし,乳酸はやや低い),血清を使用すると全血よりも平均7%(乳酸のとき),あるいは21%(ピルビン酸のとき)の高値を示す.これは,おそらく血液凝固の過程で嫌気的解糖系が作動して乳酸やピルビン酸め変化をきたすためで,したがって,検査材料としては全血を使用し,採血後ただちに測定(除蛋白操作)することになっている.
血中乳酸,あるいはピルビン酸が以上の正常値を越えて異常増加してくる疾患には表のようにいろいろある.一般にはこの両者が平行して増加するが,しかし,一方がとくに著明に増加する場合もある.周知のように,乳酸やピルビン酸は嫌気的解糖系の最終代謝産物であり,とくに乳酸は組織の酸素欠乏状態を示す指標としての意義が大きい.そこで,乳酸とピルビン酸の両者の関連性を示すパラメーターとして乳酸過剰(lactate excess,XL)という概念が導入された.
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