特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
糖質および関連物質
乳酸,ピルビン酸
熊坂 一成
1
1上尾中央総合病院臨床検査科
pp.237-239
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104754
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ピルビン酸(pyruvic acid)は解糖で生じ,糖,アミノ酸,脂肪酸代謝のすべてに関与する代謝経路の交差点に位置する重要な物質である.好気的条件下ではミトコンドリアに取り込まれてアセチルCoAとなり,TCA(tricarboxylic acid:クエン酸)回路で酸化され,ATP合成に用いられる.乳酸(lactic acid)はピルビン酸を基質とし,嫌気的に乳酸脱水素酵素(lactic dehydrogenase:LD)とNADH(dihydronicotinamide adenine dinucleotide:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の存在下に産生される.乳酸は全身の組織,細胞,特に運動時の筋肉で大量に産生されて血中に放出される.ミトコンドリアが存在しない赤血球では乳酸は常に解糖の最終産物である.通常,乳酸の大半は肝臓に取り込まれ,ピルビン酸を経てグルコースとなる糖新生に利用される.
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