増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
補体
狩野 有作
1
,
大谷 英樹
1
1北里大学医学部臨床病理学
pp.213-215
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906314
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血清甲の補体(compliment:C)はC1〜C9の11種類の蛋白成分をはじめ,補体制御因子を含めると20種類近い成分から構成される.そして通常は活性のない前駆体(zymogen)として存在する.
補体成分は主に肝臓で生成され,細網内皮系,陽管上皮細胞などでも産生される.その機能として,抗体の防御作用を補強する重要な役割がある.生体内で抗体が存在すると細菌などの細胞膜上の抗原に結合し,抗原抗体複合物を形成する.これが補体系を活性化し,病原体に結合した補体はマクロファージや多核白血球などの食細胞による貪食能を促進させる(オプソニン作用:opsonization).また,活性化された補体は,病原体の細胞膜に穴を開け溶解させることもある.したがって,補体成分の欠損症ではしばしば易感染性を呈し,広義の体液性免疫不全症に属する.
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