技術講座 血清
補体
竹内 直子
1
1慈恵医大病院輸血部
pp.62-63
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200378
- 有料閲覧
- 文献概要
1.補体の歴史
1888年,Nutall, Buchnerらによって溶菌現象を起こす物質が,正常血清中にあることが発見され,これは殺菌力を持ち,易熱性で56℃の加温ですみやかにその活性を失う物質であると解明された.以後,1894年Bordetは免疫によって生じる血清中の物質(抗体)と協同して溶血を起こす,正常血清中に存在する物質(補体)として,その作用を明らかにした.今日呼ばれている補体(complement)という名称は,1900年EhrlichとMorgenrothらの命名による.
1907年,Bronolは補体血清分画による中節と末節の分離に成功し,同年,Ferrataは,モルモットの補体血清を透析法で,アルブミン分画とグロブリン分画に分け,おのおの単独に作用させると溶血反応は起こらず,両者を合わせて作用させると溶血反応が起こることを認めた.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.