特集 現代医学・生物学の仮説・学説
6.免疫学
補体
藤田 禎三
1
1福島県立医科大学生化学第二講座
pp.586-587
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900655
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概説
補体系は,抗原抗体反応に引き続き,あるいは,単独で,生体防御にはたらく約30種類の血清蛋白と膜蛋白からなる反応系であり,感染防御において主要な役割をはたしている。補体は,1890年代に血清中の殺菌作用をもつ易熱性因子として発見され,その作用は,耐熱性の抗体が侵入した微生物を認識し結合した後に発揮される。1920年代までに,これらの易熱性の因子は,少なくとも血清中の4つの分画より構成されていることが判明したが,抗体が関与する古典的経路が11の血清蛋白質で構成されていることが判明したのは,蛋白質の精製法が確立した1960年代前半であった。抗体の関与しない第二の補体活性化経路,第二経路は,1950年代にPillemerによって提唱されたが,その存在が確認されたのは,1970年頃であった。これらの構成成分とその活性化を制御する因子の構造と機能に関する研究は,主として1970年代に遂行された。さらに1982年から1990年までに,補体系のすべての構成成分と制御因子および補体レセプターに関するcDNAレベルでの分子生物学的な性質が明らかにされた1)。
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